明治の大文豪、新聞王・黒岩涙香の代表作『巌窟王』です。 大人気作で、何度も刊行されていますが、これはその最初の出版物で、しかも全冊初刷の揃いという大変珍しく貴重なものです。 （Wikipediaの「モンテ・クリスト伯」のページに、大阪の青木嵩山堂から出版というのは誤りです。同社のページに書かれているように、青木嵩山堂は取り次ぎをしていただけで、出版は東京の扶桑堂からです。 黒岩涙香の小説の大部分は扶桑堂からの出版です。) 内容はアレクサンドル・デュマの大傑作『モンテ・クリスト伯』を翻訳翻案したものです。 ただし、主人公エドモン・ダンテスが團友太郎、ダングラールが段倉、のように日本風に変えられています。 120年近く前に出版された本です。 経年による劣化のほか、読み継がれてきたことによる疲れがあります。 特に第1巻には見返しに痛みがあります。 しかしその他に目立った破損はありません。 各冊１葉ずつの口絵も揃っています。 古書店によるカバーが全冊に付けられています。 そのままにしていますが、一冊だけ半分剥がし、表紙の質感を確かめました。 以上ご了解の上愛蔵していただける方にお譲りできたらと思います。